MODの競合のうち、ロードオーダーだけでは直しようが無い場合があります。同一アドレス内を修正しているMODが複数ある場合です。基礎編でも解説しましたが、「アドレス」が最小単位である為、複数のMODで同一アドレス内を変更しあうことは出来ません。
こういった場合はロードオーダーだけで共存させることは不可能で、一方を諦めるか、エントリを修正するかのどちらかしか有りません。
TES5Editで実際に競合を見ながら修正していく例を紹介します。よくある例ですがUFO - Ultimate Follower OverhaulとSkyrim Beautiful Followers - SBFの競合修正を紹介します。
リディアさんだけ直してみます。他のNPCに関しても大体同じです。
TES5Editで作業を始める前に
espの仕組みやロードオーダー、「競合」の意味が分からない人は、基礎編を読んでください。とりあえずこの記事を読んで、分からなかったら過去記事を読んでみるのもOKです。
TES5Editの使い方も別記事がありますので、わからない人はそちらを読んでください。
全てを把握する必要はありませんが、概要も知らずに作業をすると深刻なトラブルの原因に繋がります。セーブデータが復旧不能な損傷を受ける可能性もあります。理解した上で、かつ自己責任で作業してください。
ゲーム内での不具合の確認
ロードオーダーがSBF優先の場合
リディアさんのビジュアルはSBFの変更が適用されています。ENBで暗めですが、顔黒起こしてる訳じゃないです。
しかしUFOで制限レベルが解除されている筈なのに、LV50でキャップしてしまいます。
ロードオーダーがUFO優先の場合
レベル制限は無くなりますが、SBFのビジュアルが中途半端に適用されます。espはUFOに上書きされているのに、SBFの頭部メッシュが使われます。espとメッシュが合っていないので、いわゆる「顔が黒い」状態になっています。
うまく両方が有効になってくれませんね。つまり、この2つのMODはロードオーダーを触っても解消できない競合があるということです。
UFO優先でバニラメッシュの場合
SBFでインストールされたリディアさんの頭部メッシュを削除して、bsa内のバニラメッシュに戻して見ると、どうなるでしょう?
このファイルがどうしてリディアさんの頭部メッシュか分からない人は、過去記事参照してください。
SBFのFaceTint(化粧)だけが適用されたゴリディアさんになりました。顔黒は起してませんが芸能界のご意見番っぽいです。これでよければパッチ作らなくてもいいかもしれません。
「顔黒」に関しての詳細は別記事にありますので、よかったらどうぞ。
TES5Editで競合箇所を確認する
アキ子が怖いので修正したいと思います。両MODを読み込んで、リディアさんの項目をチェックします。
ロードオーダーは、
00Skyrim
01Update
02DawnGuard
03HearthFire
04Dragonborn
05UFO
06SBF
とします。
000A2C8Eがリディアさんです。右の窓見ると分かりますが、スクロールバー長いです。すごく項目多いです。リディアさんに限らず、NPCに関する項目はすべて1つのアドレス内に格納されている為、1人のNPCを複数のMODで変更しあうことはできません。SBFはビジュアル変更、UFOはAIその他の変更と、項目自体は被っていないのですが、同一アドレス内の変更である為に競合します。
このままだと見づらいので、競合箇所だけの表示に切り替えます。
フィルタされました。それでもまだスクロールバー長いです。skyrim.esmの項目を、UFOとSBFで変更しあっています。
HeadPartsという項目があります。この下のスクロールを見ていくと、モーフとかTintとか、全て顔に関する項目であることが分かります。パラメータの意味はよく判らなくても、顔に関する項目=SBFの変更を優先すべき項目ということは察しがつきます。という訳で、HeadPartsより下の項目は、現在のロードオーダーではSBFが競合勝者になっている為、変更の必要がありません。よって、見るべきポイントは上から順に、
Opposite Gender Anims
Calc max level
何かのFactionのRank
Packages
の4項目に絞られました。順に見ていきます。
※完全に全部理解できれば最強ですが、なかなかそんなマスターにはなれません。リスクは有りますが、概要だけ把握した上で、あとはアタリをつけて乗り切る場合もあります。
例えばHeadPartsの件、詳細を知らない人ならば、「いくら頭がSBFの領域でも、UFOの重要な項目が有るかもしれない」と考えます。考えたほうがいいです。そんなときは、バニラの値と比較してみます。この場合はSkyrim.esmになります。
HeadPartsより下の項目を比較すると、UFOとSkyrim.esmの値は全て一致しています。つまりUFOはこの項目を変更していないということが分かります。
Opposite Gender Anims
読んだままの意味です。性別と逆のアニメーションを適用する設定です。バニラだとリディアさんに男性アニメーションが設定されてますが、UFO、SBF共に解除しています。このままでいいので放置します。
※キャラクタ生成後にこのチェック外しても適用されない場合があります。詳細は過去記事参照してください。
Calc max level
最大レベル設定です。プレイヤーと同期した上で、この値が「0」だと制限撤廃になります。50>0>50と書換えられています。レベル制限を撤廃したい場合は、UFOの設定通り0とします。
※これも競合なのですが、CTDやシステム的不具合に繋がる競合ではありません。レベル制限解除の前提であれば問題となる競合です。が、UFOのレベル制限解除を無効にしたい場合は、変更の必要がありません。目的によっては想定通りの正しい競合になります。
FactionのRank設定
このままじゃ何のFactionの設定なのか意味不明です。フィルタが掛かりすぎたようなので、解除してもう1度見ます。解除してから、255>0>255と変更されているFactionを探します。
ありました。PotentialMarriageFactionです。結婚可能なNPCが所属しているFactionです。値に関しては推測なのですが、リディアさんはバニラだと「255(CKでの-1)」に設定されていますが、他のNPCは大抵「0」になっています。具体的にどういう不具合に繋がるかわかりませんが、ここは結婚関連パラメータもいじっているUFOの設定に従い0とします。
Packages
AI設定です。戦闘時のAIではなく、大本の行動指針的なAIです。読み比べると分かりますが、UFOで1個増えているだけです。ですがSBFの設定はバニラと同じな為、UFOで増えたPackageが無効化されています。よって、この項目でやることは、UFOの追加Packageを反映させることです。
TES5Editで競合箇所を修正
方針が決まったので実際に作業をします。ここではSBFに直接書き込んでしまいます。互換パッチを作るかはお任せします。
バージョンアップの際に互換パッチがそのまま使えるとは限らないので注意してください。気づかず使って不具合の原因になる可能性もあります。
※互換パッチを作る際は、「Copy As Override into」から新規espに書き込めばOKです。わからない人はTES5Editの過去記事読んでください。上に張ったリンクです。
決めた通りにSBFのespに直接書き込んでみました。こんな感じになります。
これでリディアさんに関しては、SBFのビジュアルが反映されつつ、UFOの機能もしっかり使える環境になりました。他のキャラに関しても同じような作業で修正できます。UFOのPackageを追加しているので、UFOをマスター指定する必要があります。(PACK:0501BC3B 05から始まっているのでUFOでの新設)
これで一見落着。となる場合もありますが。
他にも競合しているMODがある場合はまだ直し足りません
例を挙げると、
このままだとUSKPのリディアさんに対する変更を全て潰しています
次回、更にUSKPに対応させる修正を行います。
こんなところで一旦終わります。
続きはこちら。