今回はNEMESISのuser側の話です。最初におことわりとして、インストール方法をはじめ、descriptionに書いてあることは基本書きません。「どこどこのボタンを押しましょう」みたいな説明も無しです。あらかじめご了承を。descriptionに書いてある程度の内容は知ってる前提で進めます。それでも良ければ読んでみてくださいませ。
最初にNEMESISの基本動作の流れの説明をして、その後に具体的なトラブル対策例を挙げていきます。
トラブルが手に負えなくなる人の根本的な原因は、ほぼ共通して基本構造を頭に入れてないことが大きな理由だと思います。最低限の仕組みを知らないと対策できないのは当たり前ですので、対策の具体例だけ見るのではなく、構造の説明も読んでおくことをお勧めします(長いですけど…)。構造把握が済んでれば、その実大した手間ではないのです、NEMESIS関連のトラブル対策など。5年ぶりに復帰して3か月目くらいですが、まず最初に構造理解に全力出した為か、さして苦労してません(間違って覚えてることもありそうですけどw)。
とりあえず忘れないうちに色々書いておこうと思ったので、かなーーーーーーり長いですぬ。
個人的なオススメは、behaviorを「アニメーション管理ファイル」と覚えるのを止めることです。NEMESISのキモの部分なので、何をしているかの基本概念を頭に入れておくだけでも、対策の方針が見えやすくなると思います。
skmod.hatenablog.com
- 『NEMESIS』はそもそも何をするMOD?
- そもそもbehaviorって何?
- FNISとNEMESISの違い
- NEMESISの実行処理の流れ
- NEMESISで発生する競合の確認方法
- NEMESIS用MODの不具合を疑う時の確認方法
- FNISとNEMESISの共存
- NEMESISの疑問やトラブル例と対策案
- UpdateやLaunch中にエラーになる
- 案山子(T-pose)になる
- 特定のポーズだけT-poseになる
- 人間種族以外(動物やクリーチャ)がT-pose
- 案山子ではないが想定してるアニメーションが出ない
- NEMESISの一覧に出てこないMODがある
- MODはチェック済だけど反映されてない
- Launch実行時に名前が空欄のMODがある
- 全部OKそうなのに尚動かないMODがある
- Update Engineはいつやれば良い?
- Update EngineせずにLaunchしたらどうなる?
- パッチのチェック状態を変更した時はUpdate Engineは必要?
- パッチって32bit/64bitで互換性あるの?
- FNISとNEMESISの互換性は?
- NEMESISとFNISってどっちがMOD作りやすいの?
- NEMESISに限らず、アニメーション系のMOD多すぎてわけわからん
- NEMESIS用のMODってどうやって作るの?
- FNIS用MODをNEMESIS用に書き換えることって可能?
- NEMESIS用MODをFNIS用に書き換えることって可能?
- SOBAって何?
『NEMESIS』はそもそも何をするMOD?
一言で表すなら、
改変された様々なbehaviorファイルを1つに合体させるMOD
です。
アニメーション追加MODでは無い所がポイント。それは機能の1つでしか無いのです。
NEMESISを安全に運用するには、behaviorを知ることが欠かせません。そんな詳細まで知らなくて良いです。何してるかのイメージ抑える程度で。
そもそもbehaviorって何?
本来は『Havok Behavior』のことで、Skyrimから丸投げされたアニメーション関連の処理をしています。物理演算の方は『Havok Physics』なので混同無きよう。
処理の手順は"behaviorファイル"によって決められています。Skyrimでは『Havok Behavior』そのものを意識する必要性は低いので、behaviorと言えば主にこのbehaviorファイルを指す事が多いと思います。
こんな感じで『Behaviorさん』が仕事代行してくれます。
キャラの状態次第で、どんな強攻撃を出せば良いかを『Behaviorさん』が正しく認識してるので、つつがなく処理が進みます。
ところが『Behaviorさん』が知らない、もしくは正しく認識してない仕事をSkyrimから振られると、固まってしまいます。
"ローリングとは?"、"いつ出す?"、"それに伴うアニメーションは?"を知りません。これを正しく『Behaviorさん』に教えるのが、NEMESISやFNISです。
ここで『Behaviorさん』への教え方を間違えると、
- 教えた筈なのにスルーされてる(想定通りに動かない)
- 作業の流れが何かおかしい(案山子 T-pose)
といったトラブルに直結します。
FNISとNEMESISの違い
NEMESISの詳細解説をする前に、簡単にまとめておきます。どちらも見た目には同じようなことをしてますが、実態は全く別物と言って良いと思います。用途次第ではFNISの方が優れてることもあるのです。
FNISの特徴
基本は『新規アニメーションを追加するMOD』です。
新規アニメーションファイルと設定ファイル(FNIS_xxx_List.txt)を作成して『FNIS for Modders』を通すと、専用behaviorファイルが自動生成されます。 あとはローカル環境で『FNIS for Users』を実行すれば、自動生成された専用behaviorファイルが接続され、動作可能になります。
自動生成されたberhaviorファイルを外部に繋ぐ為、バニラのbehaviorファイルをあまり汚しません。競合も起きないです。シンプルなMOD(ポーズ系とか)ならbehaviorファイルを意識する必要も無い為、作成ハードルが低いです(アニメーション作るのは別として!)。
反面、behaviorファイルをmodderが変更することはほぼ不可能です。自動生成されたbehaviorファイルを書き換える余地はありますが、バニラのbehavior改変はFNIS自身の権限以外何もできません。
あと、あまり複雑で大規模な物に挑戦すると、設定ファイルを書くのに地獄を見るやもしれません・・・そんな時はNEMESISで直接behaviorファイル書いた方が楽かも。
NEMESISの特徴
前述の通り『改変した複数のbehaviorファイルを合体させる』MODです。
アニメーション追加はその一要素で、メインはbehavior改変そのものです。FNISのように新規のbehaviorファイルを繋ぐこともできますが、バニラのbehaviorファイルを無制限に改変してMOD化することが可能です。これはキャラクタの挙動そのものを書き換え可能なことを意味しており、戦闘系が劇的に進化した立役者の一翼ですね。
反面、高すぎる自由度故に作成ハードルは高いです。基本的にbehavior系modder向けなので、behaviorファイルを手作業で作れるスキルが必須です。初心者に易しい訳ではないのです。『NEMESISの方がFNISより易しい』的な記述をちょいちょい見ますが、実際に作ってみればわかります('_')
また、これも自由度ゆえに、問題を起こすbehaviorファイルでも作れる、behaviorファイル内で競合が発生する、といったリスクも含んでいます。
※『NEMESISは競合しない』みたいなのも見ますが、どこ見てそういう判断したのだろう・・・。昔は仕様が違ったのかな? 今は普通に競合起こします。むしろFNISの方が起きないです。
NEMESISの実行処理の流れ
もう少しNEMESISの概要を掘り下げつつ、実際の動作の流れを解説。
NEMESISの必要性
2023年末現在、behaviorファイルの構造解析も進んだようで、専用エディタやテキストエディタでbehaviorファイル自体の改変が飛躍的にやりやすくなっています。昔は訳わからんかったものですが・・・
そこでもし、各modderが単にbehaviorファイルを個々に改変してMOD配布したら・・・他のbehavior改変MODとの共存が極めて困難になります。同じファイルを改変する以上、まあそうなりますよね。その上、FNISを実行したら上書きされてしまいます。
そこでNEMESISの出番です。NEMESISは、
複数の改変behaviorファイルを"できるだけ”うまく合体させる
ことを目指します。イメージとしては以下の図の通り。
※動作イメージです。実際には後述する"パッチ"が入力されます。
NEMESIS用パッチ(modderが作成)
NEMESIS用MODとして同梱されます。
いかにNEMESISといえど、無秩序に作成されたbehaviorファイルを綺麗に合体させるのは厳しいでしょう。そこで、NEMESIS作者さん提供の基準behaviorファイル『SOBA(Skyrim Open Behavior Alliance)』があります。各modderはこれをベースに作業して、差分だけをパッチ化することでNEMESIS用MODを作ります。
NEMESISは、ローカル環境にインストールされた全てのパッチを組み立て、基準となるSOBAに合体させることで、複数のbehavior改変MODを共存させます。
SOBAは32bit/64bitどちらのSkyrimでもNEMESISが使う共通xmlファイルなので、正しく作られたパッチであれば32bit/64bit問わず動作します。
※共通で使えるのはパッチのみ。アニメーションファイル等、互換性の無いものは別途用意が必要です。
インストールされたNEMESIS用パッチは、
Data\Nemesis_Engine\mod
に、MODごとに4-6文字のフォルダ名で格納されてます。
Update Engine
Update Engineを実行すると、インストール済のパッチを全てengineファイル(とでも言っていいんだろうか? 正式名称不明なので勝手に呼んだ!)に取り込みます。この時点でチェックの有無やPriorityは関係無いです。まだbehaviorファイル自体も生成されません。
具体的には以下の通り。図に関しては便宜上、"MOD_A~C"の3つだけがインストールされた想定でお願いします。
インストールされたパッチの改変内容を、基準behaviorファイル"SOBA"をベースに取り込みます。Behaviorファイルの格納フォルダに、"Nemesis_"のprefixのついたxmlファイルがあります。これが"SOBA"behaviorファイルです(GitHubのとcompareすると同一な筈)。
Update Engineにより、SOBAをベースに、パッチの内容が全て組み込まれたテキストファイルが作成されます。これはどのパッチが何処を書き換えるか?をまとめた、改造計画書みたいなものです。オリジナルと改変後、両方の内容を保持しています。まさに心臓部といったところ。
ファイルの格納場所は以下のフォルダ。
Data\Nemesis_Engine\temp_behaviors
全てのbehaviorファイル分が書き出されると思います。
使用するパッチの選択とPriority設定
ゲームに使用するパッチの選択と、Priorityを設定します。チェックの付いてないパッチは、このあと生成されるbehaviorファイルには反映されません。なのでとりあえずパッチをインストールだけして、使うかどうかは後で決める!みたいなことは可能です。
Priorityは、behaviorファイルの同一要素を複数のパッチが改変する状態、つまり競合した時にどのパッチを優先させるかの設定です。priorityの高い方を優先します。低priority側の変更は反映されません。MODがまるまる反映されない訳ではなく、競合が発生した箇所ごとのpriority判定になります。
Priority = ロードオーダー
と考えて差し支えありません。ただしこちらは最小単位の変更における競合なので、互換パッチのような回避策が取れません。完全に潰れます。
Launch Nemesis Behavior Engine
いよいよbehaviorファイルの生成です。Launchを実行すると、Update時に作成したテキストファイルからbehaviorファイルを生成します。この時点で、チェックの付かなかったパッチの改変内容は無視されます。.hkxの前段階にあたるxmlファイルも保存されます。NEMESISで生成されたbehaviorファイルの中身を調べたい時は、これを見ればOKです。
MOD_A~Cがインストールされて、Bだけチェックしなかった想定の図。
xmlファイルは、engine用テキストファイル(この呼び名がいいか?w バラけててすいません)のあった所のxmlフォルダ内にあります。
Data\Nemesis_Engine\temp_behaviors\xml
テキストファイルと違い、更新が必要なbehaviorファイルしか出力されません。これは勿論、パッチのチェック状態で変わります。
.hkxの方は、各behaviorファイルの適切なフォルダに出力されます。xml出力の無かったbehaviorファイルは、以下のフォルダからのコピーが使われると思います。
Data\Nemesis_Engine\cached_behaviors (32bit)
Data\Nemesis_Engine\cached_behaviors\SSE (64bit)
meshes\actors\character直下の"defaultfemale.hkx"と"defaultmale.hkx"は、更新不要であればNEMESISはこれを放置します(バニラ相当品の同梱も無いので置き換え無し、bsaのを期待してる筈)。まず改変の必要が無いファイルなのですが、例えばFNISはこれを生成することがあります(旧PCEA等これを作り直す必要があった)。つまりFNIS製とNEMESIS製のbehaviorファイルが混ざった状態になります。もっともNEMESISはFNISと非互換であると明記されてるので、こうしたトラブルは完全に併用したuserの責任なのですが。
こうした要素を排除する為にも、一度behaviorファイルを削除して再生成するのは、有効な手段だと思います。
※間違えてNEMESISが生成しないbehaviorファイルを削除しないように!
FNIS用MODのbehaviorファイル(FNIS_xxx_Behavior.hkx)や、NEMESIS用MODの同梱behaviorファイル(僕はAMCOしか見たこと無いかも)は、NEMESISが再生成してくれることはありません。
FNIS用アニメーションの接続
Launch実行時に、人間種族キャラ限定ですが、FNIS用MODの各専用behaviorファイルも接続してくれます。Update時のテキストファイルには組み込まれないので、インストール/アンインストールによるUpdate Engineの再実行は不要です。
NEMESISで更新されるbehaviorファイル(と関連ファイル)の一覧
NEMESISが生成するbehaviorファイル一覧です。多分過不足無いとは思いますが・・・あったらすいません。ほとんどバニラ由来のbehaviorファイルなのですが、少しだけNEMESISの新規追加behaviorファイルもあります。
基本、生成の必要の無いファイルはバニラ相当品がコピーされますが、一部放置される物もあるので注意。
SteamLibrary └─steamapps └─common └─Skyrim └─Data └─meshes └─actors └─Character │ defaultfemale.hkx (生成の必要が無ければ放置) │ defaultmale.hkx (同上) │ animationdatasinglefile.txt (同上) │ animationsetdatasinglefile.txt (同上) │ ├─behaviors │ │ 0_master.hkx │ │ 1hm_behavior.hkx │ │ 1hm_locomotion.hkx │ │ AttackBehavior.hkx (生成の必要が無ければ放置) │ │ bashbehavior.hkx │ │ behavior.hkx (同上) │ │ blockbehavior.hkx │ │ bow_direction_behavior.hkx │ │ crossbow_direction_behavior.hkx │ │ horsebehavior.hkx │ │ idlebehavior.hkx │ │ magicbehavior.hkx │ │ magicmountedbehavior.hkx │ │ magic_readied_direction_behavior.hkx │ │ mt_behavior.hkx │ │ shoutmounted_behavior.hkx │ │ shout_behavior.hkx │ │ sprintbehavior.hkx │ │ staggerbehavior.hkx │ │ weapequip.hkx │ │ WeapUnequip.hkx (生成の必要が無ければ放置) │ │ │ └─_1stperson │ │ firstperson.hkx │ │ │ ├─behaviors │ │ 0_master-out.hkx │ │ 1hm_behavior.hkx │ │ 1hm_locomotion.hkx │ │ bashbehavior.hkx │ │ blockbehavior.hkx │ │ bow_direction_behavior.hkx │ │ crossbow_direction_behavior.hkx │ │ horsebehavior.hkx │ │ idlebehavior.hkx │ │ magicbehavior.hkx │ │ magicmountedbehavior.hkx │ │ mt_behavior.hkx │ │ shoutmounted_behavior.hkx │ │ shout_behavior.hkx │ │ sprintbehavior.hkx │ │ staggerbehavior.hkx │ │ weapequip.hkx │ │ │ └─characters │ firstperson.hkx │ ├─characters │ defaultmale.hkx │ └─characters female defaultfemale.hkx
※"animationdatasinglefile.txt"と"animationsetdatasinglefile.txt"はbehaviorファイルではないですが、NEMESISの更新対象になってます。annotationを1つのファイルに全部ぶっこんだやつですね・・・スケート対策がずっとできなかった諸悪の根源('_')
NEMESISで発生する競合の確認方法
前述のengine用テキストファイルを使って確認可能です。これは結構簡単なので、どうしても特定のパッチが動作してないと思った時にはおすすめ。
例として、僕の作った実験MOD『cbjmp』が、0_master.hkxで競合してないか調べます。
Data\Nemesis_Engine\temp_behaviors
このフォルダにある"0_master.txt"を開いて、『cbjmp』で検索。これはMOD毎の4-6文字略称で、パッチのフォルダ名と同一です。
改変項目がhitします。
まずは競合の無い状態から。クロスボウのジャンプ時のブレンドを変えてます。改変前は"14"で、cbjmpによって"12"に変更されます。
Launchを実行すると、生成されたbehaviorファイルでは”12"になります。
次は競合状態です。ひと目でわかりますが、originalとcbjmp以外にもう1つあります。cbjmpは"12"に書き換え、cbtstは"3"に書き換えようとしています。完全に競合状態。
これはLaunch実行時に、Priorityの高い方でbehaviorファイルが生成されます。他の箇所でも競合があれば、同様です。
NEMESIS用MODの不具合を疑う時の確認方法
あくまで可能性の話です。本当にバグだと断言するには、明確にパッチの書式の不備、もしくはinfo.iniの不備を見つける必要があります。推測だけで軽率な判断をしないようお願いします。
同梱ファイルの確認
ファイルそのものはパスも含めて自動生成されるので、あまり手を入れることは無い筈ですが、何かうっかりミスもあるかもしれません。
MODごとに4-6文字のフォルダ名で格納されます。もしこれが他と被ると動きません(上書きされてしまう)。
info.iniファイルと、あとは改変対象behaviorファイルの名前のフォルダと、中にパッチファイルが入ってます。
必ず"0_master"のフォルダが無いとダメということは無いです。正しいbehavior名のフォルダがあれば大丈夫。
info.iniの確認
info.iniの内容に空欄があると、NEMESISの起動に失敗します。
パッチの抽出状態の確認
パッチそのものに異常がある状態でMOD配布されることはまず無いと思いますが・・・(テストしてれば嫌でも気づく筈なので)。構造上は作れてしまう為、一応書いておきます。
必ずしも不具合に直結しませんが、クリーニング手順を行っていない、ゴミデータを含んだパッチが配布されてることはあります。
自分のローカル環境から差分抽出した
以下のフォルダのパッチを見ます。
Data\Nemesis_Engine\mod\(mod名)\0_master\#0106.txt
0_masterの#0106.txtが無ければ、代わりに一番若い番号を。0_masterのフォルダ自体がパッチに無い時は、この例に該当する可能性はありません。
nameが"#0106"、classが"hkbBehaviorGraphStringData"であることを確認。もし0_masterの#0106が別のclassだったり、0_masterの別の若い番号がhkbBehaviorGraphStringDataだとすると、この次に説明する抽出ミスに該当します(この場合はUpdateに失敗してる筈)。
#0106でhkbBehaviorGraphStringDataであれば、下の方を見ていきます。ここに"Nemesis"の入った文字列(animation event名)がもし入ってたら、確実にローカル環境の差分を抽出してしまっている為、MOD側の不具合と言えます。コメントアウトにある『local』の所に、当該MODの名前が入ってる筈です。
まあ、ほんとこれは無いと思うので、興味があったら見てみてくださいってレベルだと思います・・・多分!
正しくないbehaviorファイルで差分抽出をした
これもまず無いと思いますが一応。Updateが失敗すると思います。
パッチの中から何か適当に選び、テキストエディタで開きます。「#xxxx.txt」のやつ。一番上のは、この例とちょっと見た目違うことがあるかもです。
ここでは、
Data\Nemesis_Engine\mod\(mod名)\0_master\#0324.txt
を開きました(意図的に作ったエラーの出るパッチです)
開いたら、「固有名」、「class」、「表示名」だけ控えてください。他は、なんか書いてあるなー位の認識でも良いです。
次に、パッチに対応した"SOBA"behaviorファイルを開きます。手持ちが無かったら"Nemesis_xxx.xml"でもいいです。この例では0_master.xmlを開きます。
控えた「固有名」で検索かけます。"#0324"。
SOBA側でも「固有名」、「class」、「表示名」が一致してればOKですが、この例だと一致してません。実はこれ、バニラのbehaviorファイル(update.esm前のやつ)との差分を取ったパッチです。SOBAとは一致してない為、正常にパッチとして機能しません。Updateに失敗します。
これはHKX Extractorの"originals"フォルダを意図的に書き換えない限り発生しない上、自分の環境でもエラーになる可能性が高いので、まず無いとは思います・・・かなり悪意のある例と言ってもいいレベル('_')
パッチのゴミをクリーニングしていない
これは実際に確認。ただし不具合に直結するかは断言できません。
Skyrim Behavior Toolを使って改変されたbehaviorファイルは、NEMESIS用パッチ生成時にゴミデータ(Unintentional Edits)を一緒に吐き出します。これは作者が想定してない要素を書き換えてしまう為、ことによってはトラブル源になるかもしれません。
全てではないですが、比較的改変頻度の高いbehaviorファイルのUnintentional Editsをまとめたので、チェックしてみるのも手かもです。ただし該当nodeが意図的に変更されてる可能性もあるので、削除するなら自己責任で。できればSkyrim Behavior ToolとHKX Extractorで自分でゴミデータを出力して、中身を比較するのが安全(同一なら完全にゴミデータ)。
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最終生成前のxmlファイルの確認
パッチの書式そのものに不備があると、1KBのbehaviorファイルを吐き出すことがあります。中身はほぼカラッポなので、勿論動きません。
FNISとNEMESISの共存
まず大前提として、FNISはNEMESISと非互換であることが明記されています。
Nexusより引用。
INCOMPATIBILITY
- FNIS
- FNIS PCEA
これは両方ともにbehaviorファイルを書き換える以上、当然です。人間種族に関してはNEMESISがFNIS対応MODを拾ってくれる為、通常はNEMESIS一本で困ることは無い筈です。それでも尚使うなら超自己責任であります。なので図解説明まではしません。behaviorの最低限の概念はわかってる前提で。
そもそも両方使わねばいかん用途は・・・
僕にはアレなMODしか思いつきません('_')
ごっつクリーチャ系でバトルするヤツですね。
幸いなことに、人間種族と野生動物及びクリーチャは、全く別のbehaviorファイルを使うため、共通点がありません。したがって、
- 人間種族 = NEMESIS
- 人間種族以外(野生動物及びクリーチャ) = FNIS
という使い分けで、一応の共存が可能です。Paird Animationとかどうなんだろ?と最初思いましたが、どうも人間側のbehaviorファイルで一括管理してるぽい?(そうでないと同期が取れないのかな)ので、一応問題無さそうです。
という訳で、
- NEMESISが人間以外のbehaviorファイルを生成しないことを確認
- FNISで人間、モンス全部まとめてbehaviorファイル生成
- NEMESISで"人間種族だけ"behaviorファイル再生成
- FNISが生成した不要なbehaviorファイルがあれば削除(project側のdefaultfemale/male.hkx等)
といった所で共存が出来ます。
1と4がキモ。1ができてないと、バトルの時にクリーチャor野生動物が棒立ちになります(FNISのbehaviorファイルが潰される)。4ができてないと、人間種族が案山子(T-pose)になります(behaviorファイルの不整合)。
注意として、NEMESISは『Creature Pack対応のFNIS用MODを取り込まない』というだけで、野生動物やクリーチャのbehaviorファイルを生成できない訳ではありません。例えばバクスタ系のMODとか、NEMESISでクリーチャのbehaviorファイル改変してると思います。
NEMESISの疑問やトラブル例と対策案
個人的に思いつく、または経験した範囲なので偏ってるとは思いますが、まあ参考までに。上に書いた流れを把握してれば気付く筈の内容が多いので、なるべく上の長いやつを読むのを推奨('_') 長いですが・・・はい・・・。
UpdateやLaunch中にエラーになる
これはたくさん原因がありそうですが、
- meshesフォルダ下に2byte文字がある(日本語全角不可)
- アニメーションファイルが多すぎる
- 標準で同梱されてるmodフォルダを消した
位しか経験がありません。
Data\Nemesis_Engine\mod
このフォルダに標準で同梱されてるパッチに関しては、どうも一部はチェックの有無に関わらず参照してるようで、使わないからといって削除してしまうとコケるようです。
案山子(T-pose)になる
behaviorファイルにちょっとした齟齬があるだけで、状態遷移がうまくいかず、簡単にT-poseが発生します。
behaviorファイルの更新不良
途中でフリーズした等で、正しいbehaviorファイルが出力されなかった可能性。もう1度チャレンジ。
VortexのDeploy不良
ランチャー登録したツールが動いてるとVortexはDeployを拒否するので、そもそもインストール状態がおかしいかもしれません。マニュアルでDeployかけてから再チャレンジ。
behaviorファイルのロールバック
削除したbehaviorファイルをVortexが復活させたり、古い物に戻されてる可能性。
一度全部削除して、NEMESISで作り直すのも手です。上の方の『NEMESISで更新されるbehaviorファイル(と関連ファイル)の一覧』にbehaviorファイルのリストがあります。削除は自己責任で。
skeleton.hkxの不整合
これはCTDになるかもですが、確認してないのでここに入れておきます。下記フォルダのskeletonが、使用中のスケルトン(.nif)及びアニメーションファイルが要求してるスケルトンの条件を満たしてるかを確認してください。
SteamLibrary └─steamapps └─common └─Skyrim └─Data └─meshes └─actors └─Character ├─character assets │ skeleton.hkx │ ├─character assets female │ skeleton_female.hkx
※僕はXPMSEはLite版使ってるので、Full版のスクリプト関連で何かトラブルあれば、それはちょと不明です。
特定のポーズだけT-poseになる
おそらくbehaviorファイルは正常に更新されてるので、NEMESISの問題ではなく、アニメーションファイルの問題だと思います。適切にインストールされていない、32bit/64bitを間違えてる、OARやDARのリプレイス先がおかしい等。
Open Animation ReplacerのAnimation Log機能を使って再現できれば、読むべきアニメーションファイル名を特定できます。
僕の手違いでファイルをコピーし忘れ、ポーズMODの再生時にT-poseになった時の図。OARのLog機能に、behaviorファイルから指定されたアニメーションのパスが表示されてます。
使い方はOARのdescriotion参照。
人間種族以外(動物やクリーチャ)がT-pose
クリーチャ毎のbehaviorファイル(1個づつしかない)を確認。これを消してT-poseが解消すれば、behaviorファイルの不整合です。タイムスタンプを見て、今現在のチェック状態で生成されてるbehaviorファイルか確認してください。作られてないようなら削除しちゃってOKです。
下記は熊の例です。こんな感じで各種族ごとにbehaviorファイルが入ってます。
\Data\meshes\actors\ ├─bear │ ├─behaviors │ │ bearbehavior.hkx
試しに消すなら必ず"behavior”フォルダ直下のやつだけで。skeletonや”characters"フォルダ下の.hkxファイル消しちゃダメです(元々無い分には問題無し)。
FNISとNEMESIS両方使ってクリーチャのT-pose起こしてる人は、behaviorをもう少し理解してください。でないとキツいです。NEMESISはFNIS併用を認めていません。トラブル出るに決まってるのです。
案山子ではないが想定してるアニメーションが出ない
一見正常に動いてるけど、特定のアニメーションが出ないような時。恐らく該当アニメーションへの状態遷移に失敗してます。
NEMESIS用パッチが反映されてない
該当アニメーションを使ってるNEMESIS用パッチがうまく機能してません。正しく反映されてるかを確認。
behaviorの競合
あまり無いとは思いますが、競合で潰れてることもあります。Priorityを上げて動くようなら競合してます。
NEMESISとFNIS双方で同一behaviorを更新している
どちらか一方の更新にしないと無理です。どうしても両立したい時は、FNIS用MODをNEMESIS用に書き換えるしかありません(数が多いので手間が大変そうだけど、多分できると思います)。
NEMESISの一覧に出てこないMODがある
下記のフォルダのキャッシュのクリア(ファイル削除)で解決すると思います。
Data\Nemesis_Engine\cache
"mod settings(チェック状態)"と"order list(ロードオーダー)"は、消すと面倒なので最後の手段的な。
それでもダメな時は、
Data\Nemesis_Engine\mod
ここに該当MODのフォルダがあるか確認してください。インストールに何かしら不備がありそう。
MODはチェック済だけど反映されてない
この次の項目と被りますが、Launch実行時に『MOD名』が空欄になってないか確認してください。空欄だとLaunch時に多分無視されてます。
ここで言うMOD名は、上記と同じ、
Data\Nemesis_Engine\mod
ここにある該当MODのフォルダ名(4-6文字)になります。
フォルダ内にinfo.iniがあるのにパッチが無い時も、同様の症状になりそうです(未確認)。
Launch実行時に名前が空欄のMODがある
これもキャッシュのクリアで解決すると思います。この状態だとUpdate Engineは正常に反映されてるんですが、Launch時に該当MODがスキップされてるようです。未チェック扱いと同じかも。
全部OKそうなのに尚動かないMODがある
NEMESISはbehavior改変の自由が度極めて高い反面、それ故に代償として競合が発生します。Priorityを上げて反映されるようであれば競合してます。これは互換パッチのような解決は不可能なので(ほんとに最小単位の改変での競合な為)、どれかあきらめるしか無いです。
Update Engineはいつやれば良い?
心配であれば毎回Updateかけても問題無いです。Update Engindeでは、インストール済の全てのパッチと、基準behabiorファイル(SOBA)を合体させたテキストファイルを作ります。よって、原則インストール/アンインストールでパッチのインストール状態に変更が発生すると、それに合わせてUpdate必須になります。あとはキャッシュデータに何等かのトラブルが起きたり、マニュアルで削除した時もUpdateが必要になります。FNIS用MODは別枠なので(多分Lunch時にMOD毎の専用behaviorファイルを繋いでる)、インストール/アンインストールに伴うUpdateは不要です。
Update EngineせずにLaunchしたらどうなる?
更新が必要だとその旨表示されるので、通常はそのままLaunchしても問題無いです。万が一、なんらかの不具合でUpdadeが必要な状態なのに通ってしまったら、追加したNEMESIS用MODが反映されなかったり、アンインストールの影響でT-poseになる等の不具合が考えられます。
パッチのチェック状態を変更した時はUpdate Engineは必要?
チェックを変更しただけなら不要です。
パッチって32bit/64bitで互換性あるの?
おかしな差分抽出してなければ、パッチそのものは問題無いです(『SOBA』behaviorファイルが基準)。ただしアニメーションファイルは互換性が無いので注意。
FNISとNEMESISの互換性は?
人間種族(クリーチャ系以外)用であれば、NEMESISがFNIS用の設定テキストファイルと専用behaviorを取り込んでくれる為、そのまま使えます。FNIS Creature Pack用の設定ファイル及びbehaviorファイルは取り込んでくれない為、モンスであれこれする大人のMODには非対応。
NEMESISとFNISってどっちがMOD作りやすいの?
ポーズMODやSSLのようなアニメーション再生であれば、FNISの方が圧倒的に楽だと思います。反面、behaviorが複雑化して直接作った方が手っ取り早そうな際は、NEMESIS有利になります。また、behaviorの改変自体が目的になると、NEMESIS一択です(FNISではできない)。
FNIS用MODをNEMESIS用に書き換えることって可能?
物にもよるでしょうが、可能だと思います。behaviorファイルをマニュアルで作り直す必要があるので、手間の程度は物次第。
skmod.hatenablog.com
NEMESIS用MODをFNIS用に書き換えることって可能?
behaviorファイルの改変をFNISで反映させることができないので、まず無理です。そもそもFNISで動かせるなら、最初からFNISで配布されてると思います(その方が大抵楽だし不具合リスクも無いので)。
SOBAって何?
『Skyrim Open Behavior Alliance』略称SOBA。NEMESIS作者さんから提供されてる、共通標準behaviorファイルです。これを基準にbehaviorファイルを改変、差分を抽出することで、互換性の担保されたパッチになります。NEMESISもこれを基準に動いてます(Nemesis_xxx.xmlのbehaviorファイル)。基本は多分、32bit版のbehaviorファイルだと思います。独自の環境から差分抽出したりすると、互換性が怪しくなります。
以上、おしまいです!