(20161114)計算ミス起因による文言修正と、Fire Strikeのグラフ追加
(20160725)グラフにRX480追加、その他文言追加
GeForce優勢な世の中ですが、今更ながら突如Radeonの性能に興味が出てきたので、比較してみることにしました。
MaxwellアーキテクチャのGeForceと、R9 300シリーズのRadeonで比較します。
僕自身は最後にRadeon使ったのはR520だった気がするので、かれこれ10年はGeForceしか使ってません(汗)
※大昔は#9のグラボ愛用してました。Imagine128とかRevolution3Dとか懐かしすぎw
そんな訳で、Skyrim視点でのRadeonに関する話を全く知りません。このブログで書いておいて何ですが、Skyrim用のおすすめRadeon記事ではないことをご了承願います。
ENB等でのトラブルの話も聞きますが(実際enblocal.iniにはRadeon用のSwitchがある)、RadeonでCrossFireXしてSkyrimしてる人も居るでしょうし、Radeonがダメということではないです。僕が実体験に基づいた情報を持ってないだけです。その為Skyrimで使うかどうかは自己責任にて。
GeForceの検討記事はこちら。
- GeForceとRadeonの主な違い
- 比較検討の方針
- Geforce GTX660と比較した推定倍率
- DirectX12におけるRadeonのパフォーマンス
- 消費電力の推定比較
- RX480の消費電力問題
- Radeonを選ぶならどれがいい?
GeForceとRadeonの主な違い
最初に、Maxwellと比較したR9 300シリーズの、目立つ長所と短所を少々。
VRAM周り
R9 300のVRAM容量はMaxwellと比べると大きめで、GTX970相当のR9 390でも8GB積んでます。CrossFireX(GeForceでのSLI)で4K環境組む等には結構アドバンテージありました。けれどもMaxwellの次世代コアであるPascalの上位機種(GTX1080/1070)では8GB積んでいます。
※TITAN Xなら12GBありますけど、比較対象になりづらい価格差あるので除外。
メモリ帯域は、数字上では全体的にRadeonの方が高速です。クロック少し低いですがバス幅が2倍ある為。FijiはHBMを採用してるので更に高速(512GB/s)ですが、残念ながらこちらは4GB。ちなみにGTX980のメモリ帯域は224GB/s。
PascalでGDDR5Xを積んでいるGTX1080でも320GB/sで、これは数字の上ではR9 290と同一です。
消費電力
全体的にRadeonの泣き所とも言える所で、GeForceと比べて消費電力が非常に大きいです。電源容量と冷却環境注意してないと、ちょっとまずいレベルだと思います。詳細はあとでグラフ出します。
比較検討の方針
勿論僕1人で同一環境で多数のグラボのベンチを取るのは不可能ですw
なのでGeForceの記事の時と同様に、公開されてるベンチ結果を拾って共通項をすり合わせながら繋げて、相対的に比較します。
前回記事からのコピペ。
例えば、
・GTX980とGTX970のベンチ
・GTX970とGTX960のベンチ
の2つがあった場合。
測定者も測定環境も異なるので、3つの絶対値を並べて比較することは出来ません。
しかし、共通項である970の結果を使うことで、3つの相対的な性能差の推定値を出すことは可能です。勿論同一のベンチを走らせている必要はありますが。
実測データではないですが、目安にはなるかと思います。
今回もベンチ自体は同じ物を選んでますが、測定環境の違い(測定者、グラボ以外のハード差分、ドライバのバージョン、環境温度や機内温度等その他多数)や誤差も少なからずある筈なので、実測とは大きくずれてる可能性があります(前回のはGTX980購入後に測定した限りでは、結構いい精度出てましたが)。あくまで「目安の1つ」程度の認識でお願いします。
そんな訳で、絶対値としての詳細な数字にさほど意味が無いです。よって前回同様、GeForce GTX660比による倍率で比較します。
参考元の主な記事(全部使ってる訳ではなく、検算の目安にだけ使ったりも)。オーバークロックモデルはなるべく除外したかったのですが、ちょっと難しかったです。
動画再生とか画質とかは見ないです。各種フィルタリングの画質は気になる所ですが、見る手段が無いのでスルーします(話題になるほどの違いは無さそうですが、どうなんでしょうね)。
特に単純な「発色」に関しては、昔のアナログディスプレイ時代と違い、個人的にはほとんど問題にならない気がするのですが・・・(video出力前の丸め誤差の差分等あるかもですが、アナログディスプレイ時代のDACの違いに比べたら微々たる誤差w)
僕の環境はハードウェアキャリブレーション使ってます(NEC2490WUXiとColor Munki)。
Geforce GTX660と比較した推定倍率
そんな訳で以前のように繋いでみた、GTX660比のグラフです。FF14蒼天ベンチ(1920x1080 最高品質)実行時になります。 繰り返しますが推定値なので、僅差の場合は前後関係がひっくり返る可能性もあります。
※GTX960とR9 380はVRAM2GB版。
(DX9)FF14ベンチ
まずはSkyrimにも影響のある、DirectX9から。
あらかた対抗馬同士で競り合っており、価格帯も大体いい勝負だと思います。
Fury X、GTX980は上回っているものの、GTX980Tiには離されてます。VRAM8GBあればまだしも、4GBなのでちょっと微妙な線ですかね。リリース直後のベンチなので、ドライバで改善されてる可能性もありますが。
R9 NanoとFuryは、ともに僅差ですがGTX980超えてます。どちらも少しお値段高めですが、Nanoは基板サイズが非常に小さいので、ベンチからは見えないアドバンテージがありますね。
GTX970近辺に、R9 390と390X。GTX970はVRAM3.5GB問題もあるので、このクラスで8GBのVRAMを持つこの2枚、結構優位性ありそうです。
R9 380X、380ともにGTX960超えてます。380Xは少し離してる位。
新型のPolarisを積んだRX480は、GTX970と同じ速度となっています。
(20161114追記)
最適化度合いが気になる所ではありますが、他に比較可能なDX9のベンチスコアが見つからない為、このベンチのみになってます。
推測になっちゃいますが、結果から見てもDX9に関しては、そこまでGeForce有利な調整にはなってないと思います。
(DX11)FF14ベンチ
一方のDirectX11なのですが。Radeon勢が軒並み引き離されています。恐らくこれはGeForceへの最適化の影響のようです。
3D Mark等、他のベンチでも同様なので、このベンチ特有の問題では無さそうです。
これはR9 300シリーズが遅いというより、MaxwellがDirectX11で異様なまでに伸びている結果に見えます。
(20161114追記&修正)すいません3D Markスコアの変換計算をミスっていまして、FF14ベンチとFire Strikeでは結構な差が出ます。上記の通り最適化の問題だと思うので、この後でFire Strikeのグラフも追加しました。
GTX980Tiがぶっちぎりです。GeForceの比較記事の時(この時はFire Strike Extreme)と同様に、Maxwellの中でもGM200は特にDX11の伸びが大きいようです。
Fijiの3枚(Fury X、Fury、Nano)はGTX980と同等か、下回ってしまう結果に。
R9 390Xと390も、GTX970に引き離されています。R9 380Xと380も、GTX960と僅差。目安とはいえ、結構スコア悪いです。
RX480でも同様に差が開き、GTX970より低いです。
(DX11)Fire Strike
こちらのベンチだと、DX11でもFF14ベンチ(DX9版)と大体同じ序列になりました。GeForceの最適化に寄ったタイトルでなければ、結構いい勝負できそうです。Skyrim SE(DX11)やFallout4(DX11)は、残念ながら結構GeForce寄りだと思います。
(DX11 4k)FF14ベンチ
Radeon勢のスコアが振るわないので、追加でDX11の4K環境(3840x2160)を見ることに。VRAM容量飽和による差分を排除するために、VRAM2GBのグラボは対象から外しました。今度はGTX970基準の推定値になります。
GTX980Tiがトップに変わりは無いですが、Radeon勢が軒並み上昇してます。Fury XとFuryはGTX980にそこそこ差つけてますね。R9 390XはGTX970を超え、390も迫る勢い。Radeon勢が軒並み急上昇。4K環境だと結構強いですね。SLI(CrossFireX)は嫌だけど4K環境を検討したい場合、いい選択肢になり得るかも。
これがHBMパワーか?といえば、このベンチに限っては恐らく違うと思います。
仮に4K環境でGTX980、970のメモリ帯域が飽和した場合、GTX980比で1.5倍のメモリ帯域を持つGTX980Tiにぶっちぎられてる筈です。
参考用に、DX11(2K)の推定値を、GTX970基準で出し直しました。
これと比較してGTX970に対するGTX980Tiの倍率を見ると、2K4K共に1.5倍程度と、差が無いです。つまりこの結果は、この4KベンチはGTX970のメモリ帯域で十分足りてる、ということでしょう。GTX980Ti比で更に15%近く高速なFijiのHBMですが、このベンチではかなり遊んでると思います。
HBMを使っていないR9 390と390Xも4K環境で上昇してますし、GPU自体が4K処理を重視した設計なんじゃないですかね。AMDもそんなこと言ってたような覚えが?
(DX11 4k)Fire Strike Extreme
FF14ベンチでも4kではかなり伸びていたRadeonですが、こちらのベンチだと更にスコアを上げています。
DirectX12におけるRadeonのパフォーマンス
対抗馬となるGeForceよりも高速なケースが多いようです。390XがGTX980どころかGTX980tiを上回っていたり、RX480がGTX980を超えている等。
ドライバやタイトル別の最適化事情等も有るかもですが、2016年7月現在ではRadeon勢が優勢のようです。
タイトル別のFPS比較をしているサイトがあるので、詳細はそちらにて。
消費電力の推定比較
さて、いよいよ消費電力を見てみます。これも以前と同じく、GTX660比でどれだけ上昇してるか?で比較します。3D MarkのFire Strike(Graphic Test1)の測定値を拾って、そこから差分を繋いでます。
他所様の測定値に文句をつける様で恐縮ですが、「ワットチェッカー」による交流測定なので、相当誤差があると思います。これも目安の一環ということでお願いします。
赤軸が公称TDP、青軸が測定値を繋いだ推測値。
Maxwellは基本的に低消費電力ですが、Kepler(600番台)と比べるとそこまで実測値低くないように見えます。特に公称TDPとの差分が非常に大きいです。省電力目的でGTX660から960に乗り換えたりすると、実は増えてる可能性が。TDPは熱設計目標値なので詐欺ではないのですが・・・
で、肝心のRadeon勢を見てみます。非常に消費電力でかいです。特にR9 390Xは強烈で、これGTX970のSLI並ですかね。VRAM8GBのR9 390Xと390ですが、GTX980Tiを上回る消費電力には注意が必要かと。新型のFiji系であるR9 Fury X、これもGTX980Ti超えてますね。
一方、同じFiji系でもR9 Furyはちょっと控えめになってます。GTX980より高めですが、980Tiに比べると大分低くなってます。
注目はR9 Nanoで、これはGTX980よりも低い消費電力になってます。R9 Fury Xと同じFiji XTなのに、大幅に下がってますね。性能面もGTX980といい勝負に見えるので(状況次第ではむしろ速い)、値段次第では結構有力な選択肢になりそうです。
380Xと380は比較的少なめですが、対抗機種がGTX960なことを考えると、残念ながらかなりワッパ悪いですかね。
注目のRX480ですが、このグラフでは380Xよりも低い消費電力となっています。ただしベンチによって結構バラつくようで、実質的にはGTX970と同等の消費電力と考えた方がよさそうです。
Radeonの電力表記は、同じ「TDP」でも「Thermal Design Power」ではなくて「Typical Board Power」であり、比較的実際の消費電力の目安に近い値になってますね。それでも結構超えてる場合ありそうですが。
PCの基本的な熱対策は別記事ありますので、よかったらどうぞ。一応は開発で温度試験もやった人間目線です。
RX480の消費電力問題
AMDからも発表が出てますが、基板から定格を大幅に超える電流を引き込むことがあるようです。
ドライバで対応との話ですが、ハードレベルでの規格違反が修正される訳ではないので、ちょっと怖いですね・・・
オンボード給電だけでもピーク時は150W相当に到達しているようなので結構デンジャー。国内メーカだったら回収かかるレベルな気もしますが、まあ企業によるかも。発熱や変形、最悪は発火等のトラブルが無ければ良いですが。特に大電流を想定していないコンパクトなマザーボードの場合、破損リスクが出てくるかも(SLI想定とかしてない場合、電源層のパターンが細い可能性が)。コネクタ周りのトラブルはどんなマザーでもリスクあると思いますが。
推測ですが、外部電源の島に繋ぐ筈だったGPUの電源系統の一部を、PCI Express側の島に繋いでしまったんじゃないですかね。図面の電源シンボルかGPUのピン配仕様にミスがあった予感。
仮にそうだとすると、恐らく大慌てで基板の改版かけてる筈なので、そのうちハードレベルでも問題無しバージョンに挿し変わるかも?。
Radeonを選ぶならどれがいい?
価格、性能、消費電力と、結構チョイスが難しいと思いますが、いくつか紹介しておきます。
RX480
Polaris実装の新型。製造プロセスは14nmで、前世代のFijiやHawaii等(28nm)と比べて半分になりました。Pascal(16nm)よりもコンパクト。
VRAMは8GBもしくは4GBで、GTX1070と同等の256GB/s(256bit)の帯域を持ちます。同クラスのGTX1060はVRAM6GBで192GB/s(192bit)である為、VRAM事情はこちらに軍配です。
けれどもベンチを見る限りでは、速度、消費電力ともにGTX970程度となっています。GTX1060がGTX980相当の速度ながらGTX960並の消費電力である為、周回遅れ感が否めません。ですがDX12環境ではGTX980と同等以上の性能を発揮するケースがあるようです。
上記の電源仕様問題もあり、ちょっと微妙な所です。但し性能の割に比較的安価であり、これは大きなメリット。
2枚使えばGTX1080を超えるかもですけど、消費電力は390X並でしょうか。価格次第ですかね。対抗機種になりうるGTX1060の場合、2枚挿し(SLI)は対応してません。
OCでの伸びが良い?という話もあるようで、今後化ける1枚になるかもしれません。
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R9 Fury X
Fiji XTのハイエンドモデルです。今回のベンチからだとGTX980Tiに及ばない割に消費電力高めという、微妙なポジションに見えます。
VRAMは4096bit 500MHzのHBM。帯域は512GB/sで、これはGTX980Tiを上回ります。とはいえnVIDIAもクロックとメモリ圧縮で帯域を増やしているので、数字上では14%程度に留まります(GDDR5で8GB積んだ方が良かったんじゃ的な)。4K環境に向いてそうな割にVRAM4GBなので、ちょっと使い勝手が微妙そう。
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R9 Nano
こちらもFury Xと同じくFiji XTを使ったハイエンド級モデル。性能、消費電力共にGTX980といい勝負です。VRAMは同じくHBM 4GB。この性能の割に非常に基板サイズがコンパクトで、小型のゲーム用PCを作るのに向いてるかもしれません。無理せず基板をコンパクト化できるのは、基板にVRAMを実装しないHBMの大きな恩恵ですね。ただしGTX980と比べると、ちょっとお高めかも。
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R9 390
RX480が同等性能で100W程度消費電力小さい為、本来であれば今更選択肢にならない筈ですが、上記の電源問題が気になる場合は・・・どうでしょう。
Hawaii Proを使ったR9 290のリマークモデルで、性能は向上してます。 おおよそGTX970相当の性能とお値段ですが、8GBのVRAMが大きなアドバンテージ。512bit接続のGDDR5で帯域は384GB/S。これはGTX980よりも高速で、980Tiの448.7GB/Sに近い位。大容量VRAMを生かしてCrossFireXによる4K環境を比較的安価に組めそうですが、消費電力がGTX980Ti並なので、熱対策と電源には注意が要りそうです。
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こんな所で比較検討終了です。やはり全体的にGeForceに分がある感は拭えませんけど、GeForceでカバーしてない隙間をぬった製品があるのも事実なので、用途によっては選択候補にどうぞ。